福岡地方裁判所 事件番号不詳〔1〕 判決
本籍と住居
北九州市小倉区大字富野四八二番地の一五
無職
野見山政男
大正二年二月二二日生
右の者に対する出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律違反、所得税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官浅井昭次出席して審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人を懲役一〇月及び
昭和三六年度所得税逋脱の罪につき罰金一〇〇万円、昭和三七年度所得税逋脱の罪及び出資の受入、
預り金及び金利等の取締等に関する法律違反の罪につき罰金一五〇万円
に各処する。
右罰金を完納できないときは金五、〇〇〇円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
但し、本裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
起訴状記載の各公訴事実のとおりであるから、これを引用する。
(証拠の標目)
一、被告人の検察官に対する供述調書四通
一、大蔵事務官の被告人に対する質問てん末書八通
一、被告人作成の確認書と題する書面二通
一、被告人の上申書(昭和三九年三月三日付)
一、大蔵事務官の力丸桂三に対する質問てん末書四通
一、力丸桂三の検察官に対する供述書三通
一、大蔵事務官の野見山留男に対する質問てん末書二通
一、野見山留男の検察官に対する供述調書
一、大蔵事務官の古川弘泰(二通)、藤田寿一、河村林吉(三通)、武田恒夫、土器博一(二通)、伊達喜七郎、内田虎男、網本清人、大谷静男、吉崎斌、石井喜司雄(二通)、三木久明、上野さた子、上野俊美、兼平敏郎、依田寿一(二通)、真山茂に対する各質問てん末書
一、古河弘泰(二通)、藤田寿一、河村林吉(二通)、武田恒夫、垣本一夫、横田省三、蘆田杏三、荒牧不二男、芝正典の各上申書
(法令の適用)
判示所為中(1)出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律違反の点は同法第七条第一項、第一二条第一号、貸金業の届出及び貸金業の実態調査に関する権限の委任に関する政令第二条に、(2)昭和三六年度所得税逋脱の点は所得税法(昭和三七年法律第四四号による改正前のもの)第六九条第一項に、(3)昭和三七年度所得税逋脱の点は所得税法第六九条第一項に各該当するところ、以上は刑法第四五条前段の併合罪であるから(2)及び(3)の罪の懲役刑につき同法第四七条本文、第一〇条により併合罪の加重をし、(2)の罪の罰金刑については前記所得税法第七三条により所定金額の範囲内で別個に処断すべく、(1)及び(3)の罰金刑については刑法第四八条第一項、第二項により併合罪の加重をした刑期及び罰金額範囲内で、被告人を懲役一〇月及び右(2)の罪につき罰金一〇〇万円に、(1)及び(3)の罪につき罰金一五〇万円に各処し、右罰金を完納できないときは同法第一八条により金五、〇〇〇円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置することとし、情状により同法第二五条第一項を適用して、本裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予することとし、主文のとおり判決する。
(裁判官 中園勝人)
公訴事実
被告人は、昭和三十六年一月十一日頃から同三十七年十二月二十七日頃までの間北九州市小倉区大字菊ケ丘に事務所を置き貸金業をしていたものであるが、
第一、福岡県知事に届け出をしないで、別表記載のとおり、昭和三十六年一月十一日頃から、同三十七年十二月二十七日頃までの間、右事務所において、九州造船株式会社等に対し、百九十二回にわたり、合計金四億七千五百七十二万七千七十八円を日歩六銭乃至九銭の利息で貸付け、業として行なう金銭の貸付を開始しながら遅滞なく、所定手続を履践しなかつた。
第二、自己の業務に関し、所得税を免かれようと企て、
(一)昭和三十六年度における真実の総所得金額は、八百六十二万九千九百四十三円で、これに対して納付べき所得税額は、三百二十四万百九十円であるのに拘わらず、前記資金による利息収入及び配当収入を除外し、その収納した金を大分銀行小倉支店外十銀行に無記名定期預金等にする等の不正処理を行ない、その所得の一部を秘匿した上、昭和三十七年三月七日、北九州市小倉区大字三萩野字内の堀千四十八番地の三、所轄小倉税務署において、同署長に対し、右年度の譲渡所得金額を五十二万三千四百八十円、所得税額を一万五千三百円と記載した内容虚偽の所得税確定申告書を提出し、もつて、不正の行為により右年度の正規所得税額との差額三百二十二万四千八百九十円を逋脱し、
(二)昭和三十七年度における真実の総所得金額は一千七十四万七千三百十六円でこれに対して納付すべき所得税額は四百十九万五千五百五十円であるのに拘わらず、前同様貸金による利息収入及び配当収入の一部を除外し、その収納した金を大分銀行小倉支店外十一銀行に無記名定期預金等にする等の不正処理を行ない、その所得の一部を秘匿した上昭和三十八年三月十二日、前記小倉税務署において、同署長に対し、右年度の配当所得金額を三十七万四千八百五十円、所得税額を零と記載した内容虚偽の所得税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により右年度の正規所得税額との差額四百十九万五千五百五十円を逋脱し、
たものである。
別表
九州造船株式会社に対する貸付分
<省略>
高谷鉄工所に対する貸付分
<省略>
株式会社高砂に対する貸付分
<省略>
若戸工業所に対する貸付分
<省略>
網本鉄工所に対する貸付分
<省略>
洞海樹脂工業株式会社に対する貸付分
<省略>
河村林吉に対する貸付分
<省略>
土器博一に対する貸付分
<省略>
大洋電設工業株式会社に対する貸付分
<省略>
三和商運株式会社に対する貸付分
<省略>